1.ジャムって何?
ジャムは、パンに塗ったり、ヨーグルトに混ぜたり、パンやお菓子作りにも利用されたり、いまや日本の食生活にも欠かせない食べ物です。さまざまな素材で作られるため、料理や家族の好みによって数種類常備している、というご家庭も珍しくはないでしょう。
スーパーへ買いに行けば、たくさんのジャムが売り場に並んでいます。しかし、「ジャム」と名が付いている商品でも、厳密に言うとジャムではないものもあるのです。それでは、「ジャムって何?」ということになりますが、実はジャムには明確な定義があります。
日本農林規格(JAS)では、ジャムには2つの定義が定められています。まずは「果実や野菜、花弁といった果実類を、砂糖類や、糖質の一種である糖アルコール、またはハチミツと一緒に加熱し、ゼリー化させたもの」、2つめは「1つめの工程を経てできたゼリー状のものに、酒類や柑橘類の果汁の他、液体を固めるためのゲル化剤や、酸味や香りを加えるための酸味料・香料などを加えたもの」です。
2.ジャムの種類
ジャムは、素材によってさらに細かく、3種類に分けられます。
1つめは「マーマレード」で、ジャムの中でも「柑橘系果実を素材として作られ、さらにその果実の皮が入っているもの」を指します。2つめは「ゼリー」であり、ジャムの中でも「果実類を搾って作る搾汁を用いて作られたもの」です。そして、「ジャム」は「マーマレードでもゼリーでもないもの」を指します。
また、ジャムの中には「プレザーブスタイル」もあります。これは、ベリー系果実を用いて作られるジャムの中で、いちごであればそのまま丸ごとか2つ割り、いちご以外であれば5ミリ以上の厚さの果肉を用い、原型を残すように作られたものを指します。
3.ジャムの歴史
ジャムの歴史はとても古く、その起源は旧石器時代後期にあります。ハチミツを使って果物を煮ることで保存食にしていたと考えられていて、それが最古の保存食品だという説もあるほどです。
現在のように砂糖を使って作られるようになったのは、紀元前320年あたりとされています。砂糖が貴重品であったこともあって、当時のジャムは王族や貴族だけが食べられる、たいへん高級な品でした。しかし、十字軍がオリエント遠征の折に砂糖を大量に持ち帰ったことから、ヨーロッパにジャム作りが広まり、果物を長く美味しく食べられる保存方法として、浸透していきました。
日本にジャムという文化がやってきたのは、宣教師によるものだと考えられています。明治10年に、東京でいちごジャムが作られた記録が残っており、これがジャム作りに関する最初の記録です。明治14年には長野県で缶詰入りのいちごジャムが、明治33年にはジャムパンが作られ、販売されるようになりました。こうして、だんだんとジャムは日本に広まっていきます。そして、戦後の学校給食でコッペパンが出されるようになったことでパン食も広まり、それと共にジャムも日本の食卓になじんでいったのです。