ジャムを目の前にして湧き上がる素朴な疑問「ジャムって何?」

「ジャムって何?」という素朴な質問
世の中には「ジャム」という言葉が溢れていますが、実際「ジャムって何?」と問われると、明確に答えられる人は少ないのではないでしょうか。平成23年の消費者庁の告示第10号によるジャムの定義は、果実や野菜、花弁を砂糖や糖アルコール、はちみつなどを使ってゼリー状になるまで加熱したもの、あるいは、その加熱したものに酒類や柑橘類の果汁、ゲル化剤、酸味料、香料などを加えたものとなっています。

もっと簡単にいうと、果物や野菜の重さと同等から10%程度の砂糖を加えて加熱したものを「ジャム」と呼びます。加熱することで、果物に含まれるペクチンと酸が作用して、果汁がゼリー状に固まります。また、砂糖が水分を包み込むので、余分な水分がなくなり、腐りにくくなるというメリットもあります。そのため、ジャムは保存性が高い食品になるのです。もし果物の中に含まれるペクチンの量が少なければ、食用のペクチン酸を加えることで、ゼリー状にしていきます。よくジャムの原材料の表記に「ペクチン」と書かれているのは、そのためです。

このような定義を知ってしまうと、「マーマレードはジャムなのか?」とか、「ゼリーはジャムなのか?」と考えてしまいませんか?マーマレードはジャムの1種であり、柑橘類の皮を作って作られたものがマーマレードとなります。ゼリーは果物の果汁のみを使って作られたものなので、マーマレードとゼリー以外の果物や野菜などを使って作られたものがジャムということになります。

「ジャムって何?」の先に現れる疑問~応用編
ジャムの定義やジャムの種類がわかってくると、次に現れるのが、スプレッドやコンフィチュール、プレザーブスタイルについての疑問です。

スプレッドとジャムの違いとして、原材料が挙げられます。スプレッドもパンやクラッカーに塗って食べるものという点ではジャムと同じですが、冒頭でご紹介したようなジャムの定義に当てはまらないものを指すことが多いです。

例えば、ミルクジャムをご存じの方がいらっしゃると思いますが、原材料はミルクなので、ジャムの定義にある果物や野菜に当たらず、スプレッドということになります。また、ペクチンでゲル化させていないものも、ジャムではなく、スプレッドということになるのです。

ちなみに、アメリカの食品医薬品局(FDA)では、果物と砂糖を煮詰めて作るジャムの中で、糖度が65%以上かつ、果物を45%以上含むものがジャムであると定義しており、糖度が65%に満たないものをスプレッドとしています。

コンフィチュールは、作り方に特徴があります。コンフィチュールは、ジャムのようにペクチンでゼリー状にするのではなくて、果汁を砂糖を使って浸み出させ、果汁を煮詰めたあと、果物の果肉を元に戻す方法で作られています。コンフィチュールの方が果物がゴロゴロ入っていて、サラサラとした液体のような食材となるのです。