ジャムって何?と言われると、果物を砂糖などで煮詰めたゼリー状のものという回答が一番多いかもしれません。日本では商品名称にジャムと記載ができる条件が国の法律で決められています。ジャムの定義やその違いをみると意外なトリビアがみつかります。
ジャムって何?
ジャムの定義は消費庁で決められていて、「果実」などを「砂糖や糖アルコール、またははちみつ」とともに「ゼリー化するまで加熱したもの」と材料や形状まで指示されているのです。まず材料は果実、野菜、花弁以外の材料はジャムとは言えません。そのため、乳製品が含まれたものはジャムではなくスプレッドに属します。ジャムは作ってみるとわかりますが、甘味だけではジャムのおいしさがだせません。酸味と甘みのほどよいバランスがあって初めてジャムのおいしさが引き立ちます。バナナジャムなどもレモンを入れることで変色をふせぎ、何より味がひきしまりバナナの甘味をさらに引き立てるのです。
ジャムに使う材料は
果実と一緒に煮る甘味料も決められています。砂糖、糖アルコール、はちみつ以外のものでも添加物、甘味料は混ぜていいことになっています。しかし油脂を加えるとジャムにはなりません。あんこのジャムを作ろうとした場合、味の調整に食塩をまぜたり油脂をまぜるとこれはジャムではないのです。
ジャムの歴史について
日本でのジャムの歴史は古く、16世紀に宣教師によってもたらされたと言われています。もともとヨーロッパでははちみつに果実を漬け込み保存する方法が存在していましたが、中東から砂糖が伝来し、はちみつのかわりに砂糖が使われ始めました。それがジャムの起源になっています。日本では果物が豊富にとれましたが当時保存方法がありませんでした。砂糖がまだ超高級品として扱われていた時代の話です。ジャムが本格的に日本に普及し始めたのは戦後からです。明治時代にはジャムはあったものの、非常に高価な食品でした。戦後の給食事情によりパンとジャムの普及によってジャムの社会的認知度が高まりました。
ジャムってどうやってつくる?
ジャムの作り方は本当にシンプルです。果実、野菜、花弁などを洗って水と砂糖と一緒に煮込みます。この時加熱した果実からはペクチンが放出され果実はやわらかくなりますが、ペクチンが加わった水がゼリー状になります。ペクチンはりんご、いちごなど酸味がつよい果物に多く含まれています。このペクチンの力を利用してゼリーのようなプルプルの食感をつくるのです。砂糖は保水性があるためペクチンを含んだ水分を砂糖に引き寄せます。これによって固すぎず柔らかすぎないジャムが出来上がります。
ジャムにペクチンは必要
野菜や花弁はペクチンが少ないため、りんごやレモンなどを混ぜたり添加物としてペクチンを加えたりします。その場合も甘味は必須で、にんじん、かぼちゃ、トマトや枝豆など甘味がある野菜ならジャムにしてもおいしく食べられます。野菜のジャムも作り方は同様で、砂糖と一緒に加熱してゼリー状になるまで煮込みます。花弁のジャムに使われる材料は、主にバラ、金木犀、桃、ラベンダーなど甘い香りが特徴的な花弁がジャムに合います。花弁にはペクチンが含まれていないため、ゼリー状にするためにリンゴ由来のペクチンを加えることもあります。