ジャムにして栄養をとる意味とは?

保存食にすることで好きな時に栄養を摂れるように
ジャムの歴史を見ると、人類は1万年以上前に花の蜜をとってハチミツにすることで、保存して好きな時に食べられるようにしていた壁画の記録が残っています。ジャムに使う果実も生で食べるだけではなく、砂糖と火を使うことで生よりも保存がきくようになり、ビタミンCや抗酸化作用のある栄養素を簡単に摂れることで、健康にも良いものとして重宝されてきました。日本では西南戦争の頃、ジャムはパンの普及と共に発達し、軍用食としても取り上げられていました。

今では様々な果実のジャムがあり、その食べ方も千差万別。トーストだけではなく、朝摂ることで簡単に脳への糖質を吸収できるジャムと腸に良いヨーグルトとの組み合わせは理に適った朝食メニューですし、肉料理のソースとしてベリー系やマーマーレードを使うのも素材に合った料理方法として栄養を吸収しやすくする効果があると言われています。

ジャムにして栄養を取る意味とは?ジャムだからこそ摂れる栄養素があります
ジャムの栄養素は、糖質、食物繊維、ポリフェノールなどがありますが、生の果物で食べるよりもジャムにすることで増える栄養素があります。それがアミノ酸と糖質が結合した時にできるメラノイジンという栄養素です。これはジャムだけではなく味噌やビールなどにもみられる成分で強力な抗酸化作用を持つ栄養素です。メラノイジンは糖尿病予防や発がん性物質の生成抑制などの効果が期待されており、細胞の活性化や美肌を保ってもくれます。ジャムにして栄養をとる意味はこういうところにあるといえるでしょう。

さらにポリフェノールは色の濃い果実に多く含まれていますが、ジャムにすることで積極的に摂ることができる栄養素です。ポリフェノールとメラノイジンの二つの抗酸化作用により、生活習慣病の予防や血管の強化など様々に効果が得られるといえるでしょう。と同時に、メラノイジンには糖質の吸収を緩やかにして、急に血糖値を上げすぎないという効果があり、糖を分解するインスリン分泌の促進する働きがあるので、糖尿病の予防などにも効果が期待されています。

メラノイジンはとても効果が期待されるのですが、過剰に摂取するとあまり良くはありません。体内でメイラード化と呼ばれる現象がおこると、今度はせっかくメラノイジンによって抗酸化作用が期待できたのに、真逆の物質が生成されてしまうからです。メイラード化という糖化現象が起こると、糖とタンパク質が結合し、AGEsという物質を作ります。それを分解しようとして分解酵素が必要なコラーゲンまで分解してしまい、せっかく美肌に効果があったのにコラーゲンまで無くしてしまうことになってしまうため、取り過ぎには注意しないといけません。

ジャムにして栄養をとる意味は果実の旨味や栄養をぎゅっと詰め込んで子供から大人まで誰でも食べやすく、消化にも良い状態になっていることも特筆としてあげられるでしょう。旬の果物をその時には食べられなくても、煮詰めて瓶で保存すれば長いこと栄養価の高い状態で味わえるのですから、栄養面から見ても嗜好品の技術のレベルとしても素晴らしいものと言えるのです。